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【写真でレポート】起業体験ワークショップ(中高生向け)

3月26日(日)、中学2〜高校2年生を対象とした「起業体験ワークショップ」を開催いたしました。INTILAQに集まった17名の中高生には、魅力的な商品を生み出す「会社」の経営を実体験してもらいます。

2月に行われた小中学生向けのワークショップと同様、講師は株式会社セルフウィング代表の平井由紀子さん。

1日がかりで体験する起業までのスケジュールは、次の通り。
昼食を挟んで朝9時から夕方18時まで、気の抜けない仕事が続きます。

1.会社をつくってみよう!
2.商品を企画してみよう!
3.事業計画書をつくってみよう!
4.お金を借りてみよう!
5.仕入れをしてみよう!
6.商品をつくってみよう!
7.商品の宣伝をしてみよう!
8.販売してみよう!
9.売上と利益を計算してみよう!

まずは、参加してくれた17名の中高生一人ひとりに、ニックネームと将来の夢と得意なことを発表してもらいます。

・起業したい人
・ホワイトハッカーを目指す人
・医学の進歩に貢献したい人
・広告会社に勤めたい人
・空手の全国大会に出場経験がある人
・ルービックキューブの達人
・特技は早起きと会場を笑わせる人

…などなど、様々な個性が集まりました。

 

自己紹介の後は、5つの「会社」に分かれて、「役職」を決める話し合い。
チームには社長、販売マネージャー、宣伝マネージャー、仕入れマネージャー、会計マネージャー、製造マネージャーと6つの役職があり、与えられた職務の責任は各担当者が負わなければなりません。
どこかの席から「製造は譲るから仕入れをやらせてよ!」なんて声が聞こえてきました。

続いて、肝心要の商品企画。本日のワークショップでは防災グッズというテーマが設定されました。
各社、震災に遭った人が「これがあって良かった」と言ってくれる商品とは何か。真剣に議論します。

問屋さんで販売されている材料を手に取り目で見て、その素材感と形状から商品イメージを膨らませます。

マインドマップで論理的に思考を組み立てていく会社も。き、君たちは本当に中高生なのか?!

楽しいランチタイムですが、各社、食べ終わるや否や、時間を惜しむように事業計画書づくりに取り掛かります。
と言うのも……

午後一番に待ち受けているのが、このワークショップの最大の難所、「銀行からの融資を受ける」だから。
練りに練ったつもりの事業計画書ですが、銀行の融資担当者からは雨あられのようなダメ出しが。

「すでに同じような商品が発売されているのでは?」
「競合商品と比較して良いところがわからない」
「この材料費では想定している機能を実現できない、見通しが甘いのでは?」
「販売個数の想定が現実的ではない」
「もう一度考え直してみてください」

…実際に銀行員役を務めてくださったのは、日本金融政策公庫七十七銀行で融資担当として働かれている本物の銀行員の方々。あえての厳しいダメ出しに、「もっと君たちはできる!厳しい意見も言うのは心から成功してほしいからだ!」という熱い思いが垣間見えます。日本金融政策公庫のみなさま、七十七銀行のみなさま、本当にありがとうございます!

 

資本を持たないベンチャー企業は、銀行からの融資を受けられなければ事業を先に進めることができません。
機能を削るか、材料の見直しを行うか……悩みに悩んでギリギリの判断で書き直した事業計画書。最終的には、5社すべてが銀行との信頼関係を結び、希望した融資額を受け取ることができました。

融資で得た資金で問屋さんから材料を購入します。

A社「10個まとめ買いするのでおまけしてください!」
問屋「こっちも商売だからね〜」

問屋役のスタッフも中高生の熱さに乗せられてノリノリです。

  

材料を切り、貼り合わせ、組み立てて思い描いた商品を現実に作り出します。
さらに、広告のためのポスター制作と、キャッチコピーや宣伝文句の準備も同時進行。
いよいよラストスパートです!

INTILAQ センター長の佐々木が経営する『SASAKI-TV』の広告枠を1社1分ずつ購入して、自社製品の強みをアピールします。
もちろん、広告枠も融資された資金の中から賄っています。

使い方を説明するために実演を行う会社も。動きのあるCMは目を引きます。

そして、評価の時!
市場に流通するお金を取り合い、声を枯らしての宣伝合戦が繰り広げられます。
会社経営が成功したか。商品に魅力があったか。判断するのは「市場の原理」です。学校のテストではなかなか測り難い「起業する力」が、試されています。

完売一番乗りを達成したのは、LIFE AGENT社。家族4人が寝起きできる折りたたみ式の「SOSテント」を作りました。

しかし、より重要なのは事業の振り返り。
なぜ目標の利益に達成しなかったのか。なぜ値下げしたのか。在庫を抱えないためにはどうしたら良かったのか。
講師の平井さんから各社へ問いが投げかけられ、各自が失敗の原因を分析し、改善できるところを発表します。

中には値下げ合戦の末、それでも在庫が残り赤字になってしまった会社も。
他の会社が借りたお金に利子をつけて返していく隣で、返済できなかった理由を銀行担当者に説明します。悔しい表情…。

でも、失敗から学ぶためのワークショップです。
センター長の佐々木は、「失敗したことがない人は挑戦したことがない人である」とアインシュタインの名言を紹介し、もっと多くの失敗を繰り返してほしいとコメント。

また、本日のイベントを支えてくれた多くの方から、1日頑張り抜いた若い起業家たちに、ありがたいアドバイスが送られました。その一部を抜粋してご紹介します。

日本政策金融公庫の森本さん「社会をどうしたいのか。それを頭がちぎれるほど考え抜くのが起業家です」
七十七銀行の小野寺さん「10人の社員がいれば、40人の家族がいる。起業家はその人数を養うやりがいのある仕事」
仙台市(本イベント主催)の斎藤さん「仙台市は日本一起業しやすい街を目指し、チャレンジする人を応援する取り組みをしている。新規開業の数は現在福岡市に続く2位だが、若いみなさんの頑張りを見て近いうち日本一になると勇気をもらいました」

一方、午前9時から18時までに及ぶ長い長いワークショップをやり遂げた中高生の若者たちからの感想も、一部抜粋にてご紹介いたします。

「銀行員の方からの指摘に、現実の厳しさを学びました」
「社会の生々しさを感じた、親の大変さが身にしみてわかった」
「親に言われて参加したワークショップだが、考え、行動して、形にする楽しさを味わえて良かった」
「事業計画が認められて、拍手された時は本当に嬉しかった」
「社会で働くためには、自分の意思や行動だけでなく、責任感や信頼性が大事なんだと学んだ」
「自分ひとりの力じゃ何もできない、個性の違う人と一緒に議論して協力することが大切と感じたのは成長」
「10年後、また僕たちが起業して社会を動かす際には、また厳しさを教えてください」

そんな素晴らしい感想を聞いたら、開催者側は思わず涙がこぼれそうです。
レポートの最後に、ワークショップに参加した5社17名をご紹介します。

売上額、完売の早さともにナンバー1だったLIFE AGENT社。
社長のビジョン、宣伝マネージャーのデザイン力、製造マネージャーの技術力が高いレベルで融合して、素晴らしい成果を達成しましたが、一番の勝因は銀行からのダメ出しに対して、大胆に軌道修正していくまでの粘り強い議論にあった気がします。

銀行からの融資成立一番乗りだったハーモニーカンパニー社。
製造・宣伝にかける時間に余裕があったこともあり、製品の完成度、動きのあるCM演出には感心しました。トレーナーとして参加した三浦は「個性のバランスが良く、4人が対等な関係のチーム。大人のサポートが必要なくスムーズに会社経営できた」とコメント。

製造コストを抑え、利益トップを達成したピクトツール社。
会社経営というミッションの上では、このチームがもっとも優秀な成績だったと言えるかもしれません。スマートフォンによる情報収集を駆使して、スタートからゴールまで、ずっと頭を寄せ合い議論を続ける姿が印象的でした。

スロースターター気味だったRAY社。
商品企画がなかなか固まらず銀行融資も遅れましたが、製造・宣伝工程で一気に追い上げ(ポスターの絵がカワイイ!)て、売上額2位にまで急浮上。今回のダークホース的な存在として、販売合戦を盛り上げてくれました。

そして今回最年少チームのSATO社。
唯一赤字で銀行への借金返済ができなかったチームですが、終始明るいムードで会場を盛り上げ、最後の1秒まで声を枯らして販売努力を続ける姿には誰もが感動しました。

起業体験ワークショップは、今後も第2回、第3回と回を重ねていくことを予定しています。
今回参加してくれた人はもちろん、このレポートで興味を持ってくださった方は、ぜひ次回の告知を楽しみにお待ちいただければと思います。イベント情報は当ホームページの他、メールマガジンFacebookページでもお届けしておりますので、ご希望の方はぜひご登録いただければと幸いです。

 

末筆ですが、主催の仙台市様。共催のせんだい創業支援ネットワーク様。後援の仙台市教育委員会様。協力の日本政策金融公庫様、七十七銀行様。講師の株式会社セルフウィング平井様、富岡様。そのほか、すべての関係者、ご協力者の皆様に、このような素晴らしいイベントを開催させていただけましたことを、心より御礼申し上げます。

 

レポート:INTILAQ ライター・イワタテ