1/24(火)、「イラン・パキスタンそして台湾。27歳にしてアジア各国の野球代表監督を務める色川冬馬の挑戦」と題してハウスレクチャーシリーズVol.15を開催しました。
今回ゲストとしてお招きしたのは、色川冬馬氏。
2014年、イラン代表の野球監督に就任。それまでの16年間で1勝しかできなかったイランを西アジアカップで準優勝へと導いた後、パキスタン代表監督にも就任。今年は香港代表監督としてチームを率いる予定と、野球界でも異色の経歴の持ち主です。
さらに、野球の指導者として世界中を飛び回るかたわら、次世代のアスリート育成を目指して、出身地である仙台を拠点とした野球少年の指導にも熱心に取り組みます。一見、指導者の道を順調に駆け上がっているように見える色川氏。しかし、現在のような国際的な評価を受ける以前は、数多くの困難にぶつかってきたそうです。まだ27歳の若き指導者が、どのように高い壁を乗り越えてきたのか。そして野球を通して思い描く未来、「真のチャンピオン」とは何か。熱く語っていただきました。
色川氏は仙台大学の野球部出身。しかし、球拾いやボール磨きなど野球以外のことばかりさせられる当時の環境に疑問を感じ、「自分らしく、自分のしたいことをやろう」と、単身でアメリカに行くことを決心しました。英語はまったく話せなかったそうですが、行ったこともない国で生活していけるかと不安に思うよりも、まず飛行機代を貯めたそうです。
「野球をするのに必ずしも組織に入っている必要はない。野球は世界的なスポーツだ」という言葉に、会場は震えました。
渡米後、やっとの想いでプロ契約に辿り着くも、現実は厳しいものでした。アメリカのいくつものプロリーグと契約をしながら選手として野球をプレーしてきた色川氏ですが、時には目の前で契約書を破られて、「違う場所で頑張ってくれ」と告げられたこともあったそうです。なんというドラマのようなシーン!
スポーツは才能に大きく左右される世界。どんなに努力しても超えられない壁があるのではないかという不安の中で、転機は、ある指導者の言葉だったと言います。
「君はプレイヤーではなく指導者の方が向いているよ」
グラウンドの外、野球技術と関係のないことにまで口出しをする指導者は(恐らく)多くありません。しかし、その指導者は、色川氏のホテルまでついてきて、徹底的に寄り添い、食生活やアメリカでの生活のことまで親身な助言をし続けてくれました。
「自分も選手にしっかり寄り添って、単なる野球選手だけでなく、世界に通用する人格のある選手の育成に携わりたい」という想いから、色川氏は指導者としての道を進むことを決心したそうです。
イラン、パキスタンなど他国の指導者を務めるにあたって、文化的な違いからの困難もあったそうです。それでも選手と真摯に向き合うことを忘れずに本気でぶつかることで、選手たちも本気で応えてくれる…。「人はみな様々な弱みをもっているが、どんな人にも、必ず自分らしさがある。強みがある。その自分らしさや強みを徹底的に生かせば、どんな壁も乗り越えられる。」と色川氏は言います。
イベントの最後には、佐々木センター長がモデレーターになって参加者からのQ&Aも交えたディスカッションも行われました。
「色川さんだったからできたのではないですか?昔はどのような少年だったのですか?」という佐々木センター長からの質問に色川氏は「ごく普通の野球が好きな少年でした。しかし、知らない環境に飛び込むことに楽しさを感じていて、自分から動かないと何もわからないのでとにかく動きました」と答えていました。
また、主婦の方から「今はやめてしまいましたが息子も野球をしていた頃があって、今日のお話は非常に感動しました。ぜひ、息子にも聞かせてあげたいと思いました」との感想もいただきました。
その他にも、多くの質問や感動の声が寄せられましたが、どんな問いかけにも真摯に答えるチャレンジャーの言葉には、会場全体を熱くさせ、挑戦する勇気を与えてくれるような力を感じました。
色川冬馬さん、そしてハウスレクチャーシリーズvol.15に参加してくださったみなさん、ありがとうございました!
レポート:INTILAQ インターン生・高橋