第5回 INTILAQ SIA ナイト イベントレポート
6月16日(火)、SIA(Social Innovation Accelerator)プログラム卒業生をゲストにお招きしたオンラインパネルディスカッションを開催いたしました。
【オンライントークの概要】
SSISプレゼン動画(約10分)視聴
【SIA Nightトーク】
佐々木:今回のゲストは成澤裕章さんです。僕も改めてプレゼン動画を見て、魂の叫びというか心の叫びがバンバン伝わってくる感じでした。めでたく優秀賞を受賞されましたが、周りの反応はいかがでしたか?
成澤:家族にすごく喜ばれました。
佐々木:お子さんはお父さんにどんな声をかけてくれましたか?
成澤:びっくりされましたね。普段あまりそんな感情をあまり出さないので、そういうことができるようなタイプに見えなかったみたいです。普段見せない一面が見れたと。
佐々木:あらためて、成澤さんが取り組んでおられる社会課題についてお聞かせいただけますか?
成澤:差別と偏見というところですかね。障害者が外に出た時に阻む大きな壁や、思い込みとか偏見とかそういったものがまだまだあって、それでせっかく勇気を出しても、またふさぎこんでしまったり、道が閉ざされてしまったりすることがあるので、そこをクリアしないといけないなと強く思っています。
佐々木:動画の中でおっしゃっていた法律について、当事者の立場からのお話をお聞かせいただけますか?
成澤:法律は法律で大事で、それによって環境が改善されることもあるのですが、影響があるのはごく一部の人だけで、世間一般の人はほとんど興味がない状態なので、やっぱりそこがまだまだ壁があるのかなと思います。
佐々木:自分自身にそういった経験があればそれは他人ごとではなくなるわけでしょうけど、自分事になっていないということなんでしょうかね?
成澤:どこかで遠い存在だと思っているので、対岸の火事ではないですけど、そこをもう少し距離を縮めてお互い良い関係を作れたらいいのかなと思っています。
佐々木:そのあたりを成澤さんが作られた2分間の動画でうまく表現されていたなと思うんですけど、全部で3ラウンドありましたね。
第1ラウンドはスマホを持ちながら歩いている人から「どこ見て歩いてんだ」と言われるわけですね。
成澤:これは障害者関係なく危ないですよね。
佐々木:第2ラウンドはおじさんが「障害者のフリするな!」と言うわけですね。実際にご自身が経験されたのですか?
成澤:見た目ではわからない難病の方が「若いのになんでそこに座ってんだ」と言われるのはよくある話で、あるあるなんですよね。そうすると優先席に座らないようにとかあんまり外に出たくないということになってしまうので、そこはなんとかしなくちゃいけないなと考えています。
佐々木:当事者の方は本当につらい思いをしているんだろうなと感じます。
第3ラウンドの女子高生のようなことは日常的にあるんでしょうか?
成澤:若い人で「メンヘラ」という言葉がはやっているというか、よく使われていて、あれつけてる人はそうだよね、見た目はわからないし車イスでもないから、そういうことだよねって考えがそういう方向に行っちゃうんですね。そういうものじゃないんだよっていうことを知ってほしいと思います。
佐々木:そんな中で障害を持ってるということを皆さんに分かってもらうためにヘルプマークというのができたわけですが、まだ認知されてないことが大問題なわけですよね。
成澤:宮城県で導入されたのが2018年で、ようやくきたということでヘルプマークをもらってきました。
佐々木:意識して見てるんですけど、まだつけている方があんまりいないように思います。
成澤:たまに電車とか乗っているとカバンとかについていますが、ちょっと意識してみないと目立たないですね。
佐々木:動画の中でも言っていた「見えない有刺鉄線」ってすごい強烈な言葉ですよね。見えていても嫌ですよ、有刺鉄線。
成澤:実際に道を歩いていた時に有刺鉄線があったんですね。その時は妻と一緒に歩いてたので、危ないよと言ってもらったんですが、その経験があったから思い浮かんだというところです。
佐々木:動画の中で言っていたおせっかいという言葉ですが、あえておせっかいという言葉を使った思いというのは?
成澤:昔は近所のおじちゃんとかおばちゃんとかがよく話しかけてきましたけど、それがだんだん個の時代になってきて、知らない人にはあいさつしないって時代になっちゃったじゃないですか。
ひとりでやることは自立のためには大事なことなんですけど、でも当事者にとっては助けてもらうことも自立の方向でもあるんですよね。助けが必要な時にちゃんと助けを頼むと。
そして助ける勇気というのも必要で、今は他人との関係が薄くなってきたので、これを強調するために「おせっかい」という言葉を使って、お互いにちょっとおせっかいなくらい歩み寄ろうという想いを込めて使っていました。
佐々木:本来おせっかいって必要なことだと思うんですよ。でもおせっかいって余計なこと、という意味があるじゃないですか。でもあえて成澤さんがおせっかいという言葉を使ったことでもっと気楽に手伝うという感じにとらえるとすごくいい言葉だなと思ったりしますね。
成澤:普段は遊び心が多い人なんですよ。プレゼンも、最初はコミカルな明るい感じでやっていたんですが、怒りのシーンは最後の最後に変えて入れたところなんですね。
なんで変えたかというと、会場に来る人は障害以外の別のテーマに興味があってきた方だろうと思って、その方たちにどうやったら届くのかなって考えた時に最終的に叫びといういうか、ああいう形になったんですね。
佐々木:マッチングアプリをやってみようと思ったのはどのようなアイディアから結び付いたのですか?
成澤:元々はヘルプマークの問題として、どういう時にどういうお願いをしたいのかという情報が足りないというのがあって、それをアプリで解消できるんじゃなかいかというところからですかね。
最初はマッチングだけだったんですね。これは必要なんですけど、もうちょっとみんなが使いたくなるような要素って何だろうと思った時にゲーム要素を取り入れて、助ける側もメリットが必要だよねということで信用度が入ってきた感じですね。
佐々木:僕もちょっと記憶にあるのが最初のころ成澤さんが言っていたのはヘルプマークをつけている人が近くにいることがわかるアプリと言ってましたよね。でもそこから進化していったいきさつというのは?
成澤:社会起業家プログラムは半年間と、期間が長いじゃないですか。そんな中で徐々に育てていって、時には壊してもう一回作り直して育ってきたものかなと思います。
佐々木:マッチングアプリなど、今の活動状況をお聞かせいただけますか?
成澤:3月にSIA同期の伊藤彰さんと共同でイベントをやる予定だったんですけど、コロナの影響で中止になってしまいました。
アプリに関しては今はストップしていて、コロナの状況を見て来年くらいからやっていきたいなと思っています。なぜかというと障害者とか弱者の方というのはコロナの問題が起きた時に一番影響を受けやすくて、安全面はすごく重視しているので、まだやれないなと思っています。
佐々木:そんな中でもNOTEとかブログとかされているようですけどそのあたりをお話しいただけますか?
成澤:まずは自分のことを知ってもらおうと思いまして、NOTE、ブログを始めました。それ以外にも動画とかそのへんもお披露目する機会があれば発信できたらと思っています。
佐々木:それとオンラインイベントも先日やられていますよね?
成澤:視覚障害者の方が私含めて7人で夢を語るイベントに呼ばれてお話してきました。そのイベントの模様はウェブの記事になる予定で、NOTEの方で報告します。
佐々木:SIA卒業生として色々お聞きしたいんですけど、そもそもなんで応募しようと思ったのですか?
成澤:SIAが始まる前に仙台市で起業支援を行っているアシスタの方に相談に行ったんですね。そこでSIAの1期先輩の山田さんに出会ってSIAを紹介されたんですね。過去のYoutubeを見て、先輩方のYoutubeを見ていいな、私もここに立ってみたいなと思いまして、応募に至りました。
佐々木:このプログラムを通じて学んだことなどお聞かせいただけますか?
成澤:ビジョン・ミッションのところで、ほんとにやりたいのかどうかを繰り返し自問自答して、深めていって、アウトプットしてみては、また壊しての繰り返しですね。それで根っこにあるものが見つかったということですね。
佐々木:どんな風に変わったのかお話しいただけますか?
成澤:私自身エンジニアの仕事していたので、どうしても作業効率化みたいな視点でアプリを作ってって感じだったんですけど、ほんとに私がやりたいことなのかを掘り下げられた感じですね。
佐々木:ご自身の想いを深堀したりとか、ビジョンやミッションを繰り返し考えるのってつらかったとみなさん口々に言うんですけど、そういう想いは成澤さんもされてましたか?
成澤:ありますね。全員あったと思います。私の場合は壊して作りなおすの繰り返しだったので。
佐々木:これだ!と確信に近い満足する結果になったという感じですか?
成澤:ワクワクするのは何だろうと考えた時に冒険の応援に変わっていった感じですね。
佐々木:冒険て前向きなワクワク感ありますよね。そこはすごく納得感があったんですね。
成澤:私が持ってる要素を盛り込んだって感じですね。ゲームとかロックとかそういったものを事業に落とし込んだら自分が楽しいんじゃないか、それを入れた結果、こういうのができました。
佐々木:成澤さんらしさですね。ゲームとロックが大好きということで、ロック魂なのかなと。成澤さんらしさが集約してこういう結果になったんだろうなと感じてます。
SIAとの仲間とのつながりというのはどうでしたか?
成澤:同期の仲間たち11名がいたからこそ今の形があると思います。途中でみんな悩んで、ちょっと苦しんで、一緒にペアワークやったりグループワークやったり、ちょっとずつ進展していくんですね。みんなの力を借りてやってきたものなので、わたしひとりでやっていたらできなかったと思っていて、ほんとにみんなのおかげだと思います。
佐々木:最後にあらためて今後の展開など、想いをぜひみなさんにお伝えいただけますか?
成澤:ブログ、NOTEを使って発信していくのと、YoutubeなのかFBになるか決まってないのですが、その辺りも今後発信していきたいなと考えています。まずは発信する。その上で私だけでなくて仲間と一緒にやっていけたらいいなと思っていますので、今後の活動を見守って頂けたらと思っています。
ぼうけんのおともNOTE