ACTIVITY INTRODUCTION

活動紹介

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活動紹介

2020.06.18

【イベントレポート】第4回 INTILAQ SIA ナイト

第4回 INTILAQ SIA ナイト イベントレポート
5月27日(金)、SIA(Social Innovation Accelerator)プログラム卒業生をゲストにお招きしたオンラインパネルディスカッションを開催いたしました。

【オンライントークの概要】

SSISプレゼン動画(約10分)視聴

【SIA Nightトーク】

佐々木:今夜のゲストはSSISで優秀賞を受賞した伊藤彰さんです。簡単に自己紹介をお願いします。

伊藤:宮城県名取市で一般社団法人ファブリハ・ネットワーク代表をしております、伊藤彰と申します。通常は訪問看護ステーションで作業療法士の仕事をしていて、在宅のリハビリに携わっています。3Dプリンターなどを活用した工房を作って、障害を抱えた当事者の方と自助具などを一緒に作る工房を運営しています。

佐々木:プレゼン動画をあらためて観てどうですか?

伊藤:まだまだ伝えきれてないところがありましたね。気持ちはあるんだけど言葉にできていないところが残念かなと思って。

佐々木:周りの反応はどうでしたか?変わったこととかこんな言葉をかけてもらったとか。

伊藤:セラピストの方とか施設で働いている方から、うちでもやってみたいとか声をかけていただいてやってよかったな、興味持っている人がいるんだなと改めて実感しました。

佐々木:作業療法士や訪問看護師の方みんながみんな3Dプリンターを使って自助具作ったりするわけではないですよね?むしろ特殊な感じでしょうか?

伊藤:そうですね、人数的にはまだまだ作れる側の人は少ないですけど、手段を知っていることで、作れる人につなげていくっていうのが必要かなと思います。

佐々木:そもそもなぜ作業療法士とか訪問看護師に就こうと思ったのですか?

伊藤:リハビリって本人の努力とか、リハビリの先生の言うことを聞いて体を良くしたりとかってイメージが強いと思うんですけど、そうじゃなくて住んでる環境とか自分の取り巻く環境が自分の生活を苦しめていることが多々あるんじゃないかなって思ったんですね。

医学的にどうしても直せない病気とか大変な病気は色々ありますけど、逆にそういう環境を除去したり軽減したりすることでもうちょっとできることって増えるんじゃないかなと。そういう意味で当事者の方のやりたいこととか自己実現の手助けになるんじゃないかなと思って始めたのがきっかけですね。

佐々木:この世界に飛び込んで、お仕事としてやろうと思ったのはなぜなんでしょうか?

伊藤:リハビリの仕事をしようと思ったきっかけは、元々建設会社に勤めてて、リハビリの職種の人から「向いてるんじゃないの」という一言でしたね。それで仕事辞めて学校に行こうかなと。自分の適性がどうのこうのっていうのはあまり判断しないで、そうなんだ、おれいけるんじゃないかなって感じでしたね。

佐々木:最初からこういった自助具を作ろうと思ったわけではないですよね?

伊藤:病院や施設に勤めていた期間があって、地域の方とか在宅の方に関わることが多くなってきて、見えてきたというか気づきがあったというところが大きかったと思います。

佐々木:ご自身で元々3Dプリンターをお持ちだったのですか?

伊藤:たまたまラジオを聞いていて、デジタル加工機で障害に必要なツールを創るという話で、こんな世界があるのかなと。色々調べたら3Dプリンターを活用して世界でデータを活用していることを知って、じゃあちょっとやってみようかなと独学で3Dプリンター買ってやりました。

佐々木:そこがアントレプレナーですよね!知識も経験もない中で、よさそうだなと思って3Dプリンター買って独学でやるってなかなかないじゃないですか。そこまで彰さんを突き動かしたものがあったわけですか?

伊藤:最初は物を作って提供するっていう喜びがすごくあったと思います。それで喜んでもらったり、何か解決するお手伝いができたっていうのが最初は大きかったかもしれないですね。

佐々木:質問が来ています。「3Dプリンターをやるのはハードルが高いように思うのですが、伊藤さんはどうやって知識やスキルをつけたのですか?また、3Dプリンター初心者でも伊藤さんの活動に加わることができるのでしょうか?」

伊藤:もちろん喜んで一緒にやらせて頂きます。

佐々木:簡単に独学っておっしゃいますけど、イチから立体的なデザインをするのはそうとうハードルが高いかと思うのですが。

伊藤:最初に3Dプリンターでデータを作って出すっていうところまでいくのがけっこうかかりました。

佐々木:どのくらいの時間がかかったのですか?

伊藤:自分で3Dプリンター買って、本を見たり、ファブラボみたいな工作室で色々教えてもらったりして、ちゃんと使いこなせるまで1年くらいかかったかもしれないですね。

佐々木:やっぱりそうですよね。独学って言っても全く何もなくやるっていうのはきついですよね?

伊藤:確かに大変でしたけどしんどくはなかったですね

佐々木:好きだから?笑

伊藤:そうですね 笑 形にして出してみたいとか、こういうのが作れるんだって可能性が自分でもすごく思ったので、そこまではなんとか持っていきたいなっていう気持ちだけでした。

佐々木:3Dプリンターってすごく高いんじゃないかってイメージがあると思いますが、おいくらくらいするのですか?

伊藤:今は3万円弱で買えます。それでも精度はかなりいいです。私が買ったのは3、4年前でその時に安くて10万円くらいです。それでも今のプリンターより質が落ちます。

佐々木:3Dプリンターに興味ある方は多いと思うのですが、でもとにかくハードル高そうというイメージが強いですね。

伊藤:例えばドリンクのホルダーやペットボトルの飾りを作ったり、遊びから入っても全然いいと思うんですよね。その中でこういうものを作ってみたいとかがあれば、子どものスタンプやネームプレートとかも作れるし。

佐々木:3Dプリンターを使えるようになって、そこからご自身でラボを立ち上げたのって本格的にやっていこうという想いがあったからですよね?

伊藤:自助具とかを提供したいと思っていて、患者さんに色々話聞きながら作ってみて、いっぱい失敗して、何回も出力し直したりしたんですけど、それがまた一緒に創っていく楽しみがあって。

佐々木:一緒に創るってすごいポイントだと思うんですけど、彰さんが作って、はいどうぞじゃなくて、一緒にやっていくことでみなさんもぜひって感じになるでしょ?

伊藤:「このへんの太さがあるとつかみやすい」と言われてとりあえず作ってみて、「もうちょっと長いといいね」とか「短いといいね」とか、そうすると自分も意見を出して作ったという成果がやっぱりありますね。与えられただけじゃなくて。

自助具だけじゃなくて、料理の型とか、遊び道具みたいなものを作ったんですけど見えますか?

佐々木:腕?

伊藤:押すと腕が鳴るんです(漢字の腕をかたどったおもちゃを押すと音がキュッキュ!と鳴る)。こんなおもちゃを作ったりもしています。

佐々木:プレゼンにもあった「誰もが日常の創案者である」ってすごくいいですね。

伊藤:「こういうもの欲しい」とか「こういうのあると助かるよ」っていうアイディアって、そういう身になってみないとわからない視点ってあると思うんですよね。そこはやっぱりお話聞いて、みんなが作れるデザインにしていって、良くしていったほうが社会的にも満足していくんじゃないかなって思っています。

佐々木:色んなものをたくさん創案されたわけですけど、イベントがあるわけですよね?

伊藤:元々イスラエルのNGOの団体がプラットフォームを作っていて、当事者もメンバーに入れてエンジニアと一緒に作っていくという活動をされているんですね。

東京にいる作業療法士の方とつながりがあって、日本でもやってみようと、実行委員に入れていただいたという経緯があったんですね。規模は大きくなくてもぜひ東北でもネットワークを繋げるような活動をやっていきたいなと思っています。

佐々木:他にこんなものがあるんですよっていうのをみなさんにご紹介して頂けますか?

伊藤:松葉杖とかにつけるドリンクホルダーとか、ペットボトルをちょっとした力で開けられたりするようなものなど世界中にたくさんあります。

佐々木:当事者にとってこういうのがすごく欲しかったけど、世の中にはない。でも自分で作れるってこんな喜びないですよね。

伊藤:世界中のデータが載っていて、それをダウンロードすることができます。

佐々木:オープンソースで世界中の人たちがデータを公開してるわけでしょ?それをみなさんが自由にダウンロードして出力してみるってことですよね?これはすばらしい仕組みですね。

伊藤:自分でオリジナルで作らなくても、ある程度作ってあるデータを出してみて、いい塩梅で使えるんなら使ってみてって提案もできるし。

佐々木:そして自分のデータが公開されて、世界中の人が使って喜んでもらえるってこんなにうれしいことはないですよね。

伊藤:うれしいですね。ダウンロードしてもらってるんだっていうのがわかるとすごくうれしいです。

佐々木:質問が来ています。「世界中で自助具の設計図が共有されるのはステキですね。どれくらいの種類の自助具が公開されていてどれくらいの人が使っているのか教えてください」

伊藤:数までは把握できていないのですが、データを管理しているサイトがいくつかあって、「食事」とか「アクティビティ」とか「パソコン」とかカテゴリーごとにいっぱいあってけっこうな数になっていると思います。

佐々木:SIAについてもお伺います。なぜSIAに参加しようと思ったのですか?

伊藤:工房を立ち上げるってなった時に何をどうすれば継続的な事業になるのかとかどういうふうに進めていくのかもわからなくて。

以前Intilaqさんでセミナーを受けたことがあって、メーリングリストからメールが来たんですね。それを目にしたのが始めかなと思います。できるかな?というよりもこういうのがあるんだったらぜひ勉強したいなっていうのが正直な気持ちでした。

佐々木:半年間のプログラムで何を得ましたか?

伊藤:社会課題に向かっていろんなことをがんばっている方がいっぱいいるんだなと。色んな分野で苦しんで、当事者になって原体験として立ち上がってやっている人っているんだなと。そういうのって本とかテレビでしか見たことなかったんで、身近にもそういう方がいるんだなってすごく刺激になりました。

佐々木:みなさんに共有できるスライドがあるんですよね?感情曲線て自分の人生の中で自分の感情が高まった時や落ち込んだ時、何をした時に盛り上がったのか、それを書き出してみるやつですね?

伊藤:内省とか自分のその時の心の動きって振り返ったことなかったんですよ。書き上げたらけっこう山あり谷ありだったなと。がーっと上がってやりたいことやって、下がって何もできなくなったこともあったんですけど、こういう振り返りって大きいかなって。原体験って何だったんだろうって元々の根っこですよね。これが衝撃でした。

佐々木:自分の過去を振り返ったことで学びを得たということですか?

伊藤:自分を動かしてる原体験ってなんだろうって振り返ることがなかったので、自分は何をしたいんだっていうところの原点ですよね。そこで社会起業家でやっていこうと芽生えたってことですかね。

佐々木:SIAでは本人のビジョンややりたいことを言語化するっていうのがひとつの大きなテーマですけど、それはできた感じですか?

伊藤:そうですね、まだ満点じゃないですけど、今から肉付けをしていきたいなと思っています。

佐々木:SIAで知り合ったメンバーと今交流はありますか?

伊藤:今は直接会えないですけど、活動を拝見したり、FBで興味深いところには参加していきたいと思ってます。私も関われることもあるし関わってほしいところもみなさんあるんでタッグ組んでやっていきたいなと思っています。

佐々木:次のスライドは彰さんが出版された本のQRコードですね。

伊藤:アマゾンでも販売しています。初めての方向けで、データはどこにあるのかとか、どういう道具があるとか初歩的なビギナーズ向けの本です。

伊藤:これは今年GWにやる予定が延期になってしまって、いつやるかは未定なんですけど、東京で3日間かけてやる予定になっています。

当事者の方に来ていただいて、支援者とエンジニアとチームを組んでニーズを聞いて作っていくという活動をやっていくので、興味があればネットの方を見ていただければなと思います。

伊藤:これはうちのラボなんですけど、興味あれば見ていただければと思います。

佐々木:興味のある人は行って見学もできるのですか?

伊藤:日中は訪問しているので、火曜日と土曜日の午後は夜まで開けようかなと思っています。連絡を頂ければ極力時間を作って紹介させて頂きます。

佐々木:今後の展開など教えていただけますか?

伊藤:プレゼンでは東北を回っていく予定だったんですけど、今の状況で県外に行ける状況ではなくなってしまったことで、宮城県内の地域の基礎を固めていこうかなと。啓発活動とかセミナーとかを開いていこうかなと思っています。

佐々木:では最後に今日参加された方にメッセージをお願いします。

伊藤:活動としてはまだまだ小さくて、徐々に仙台市だけじゃなくて東北に広げていきたいというところはあるので、興味ある方がおられればぜひ声をかけていただいて一緒にやっていければと思っています。よろしくお願いします。

すぽっとラボ なんでもや工房

TOM メイカソンTOKYO

書籍「3Dプリンターで自助具を作ろう」