ACTIVITY INTRODUCTION

活動紹介

ACTIVITY INTRODUCTION

活動紹介

2020.09.02

【イベントレポート】第6回 INTILAQ SIA ナイト

第6回 INTILAQ SIA ナイト イベントレポート
7月1日(水)、SIA(Social Innovation Accelerator)プログラム卒業生をゲストにお招きしたオンラインパネルディスカッションを開催いたしました。

【オンライントークの概要】
SSISプレゼン動画(約10分)視聴

【SIA Nightトーク】

佐々木:本日のゲストは農家Gatewayコミュニティスペース「りんごのはなプロジェクト」代表の越後千寿さんです。プレゼンの動画を久しぶりに見ていかがですか?

越後:鬼気迫るものが。ロックだなっていう感じですね。

佐々木:今僕数えてはいなかったですけども、このプレゼンテーション中にロックっていう言葉が相当出てきましたよね。

越後:生き方がロックっていう言葉をキーワードにさせていただいています。

佐々木:ロックっていうのは捉え方が人それぞれだと思うんですが、越後千寿がいうロックとは何ですか。

越後:私が皆さんにお伝えしたかったロックっていうのは自分の大好きなこととか信念とかそこに正直になって、動き続けよう、ということが ROCK AND ROLLですね。

佐々木:そういった魂の叫びをソーシャルイノベーションサミットでもやったわけですけど、周りの反応はどうでしたか?

越後:ロックというキャッチーなワードを使ったので、「ロックだね!」とか、「ロックンローラーが来た!」っていう反応ですね。

中でもSIAの私の仲間、同期のみんなで写真撮るときにみんなこのロックのポーズをしてくれて、同期のみんなのロック魂に火をつけられたんじゃないかなっていうのが一番うれしかったことですね。

佐々木:越後さんが取り組んでいる社会課題について、改めてお話いただけますか?

越後:取り組んでいる課題としては、何者かであることが求められる社会で、疲弊してしまった心を抱えながら生きている人が、私の他にもたくさんいるんじゃないかというところと、農家さん自身が農家であるっていうことに、自信とか誇りとか失ってしまっているんではないかとSIAの当時は考えていました。

私は実家の畑とか、音楽活動を通して、このまま自分が好きなものと好きな人たちに囲まれて生きていていいんだって感じたので、畑とか自分が好きなことを通して、他の人たちにもそういう生きる力、生命力というかそういうものを取り戻してほしいなというところです。

農家さんが自信と誇りがなくなってきてしまっているんじゃないかと考えていたんですけど、このコロナの状況で農家さんたちがどう変わったのかっていうと、変わらなかったんですよね。コロナだろうと、畑に行って作業して。今まで通り、例年通り、自分たちのやれるベストを毎日畑でやるっていうことが農家さんは変わらなかったんですよ。

なんかそれを見て、なんかロックだなって。私が心配しなくても農家の人たちはロックに生きてるよなっていうのを改めて見方が変わったというか、自分たちはこれをやるんだって、そこに向かって農家さんたちは動き続けてるので、逆に見習いたいと思いました。

佐々木:心配するまでもなく、農家さんはすでにロックだったと。なるほど。それは素晴らしい気づきですね。農作業自体には、特に大きな影響はないということですね。

越後:元々ソーシャルディスタンスは守られているし、外での作業で3密になるっていうこともない。しかも自然を相手にしてるので、果物とか野菜とかは成長をし続けていて、人間の都合では待ってくれない。

私の父親がよく言うんですけど、人間の都合で、リンゴがいくらで、どこに売れたらいいなとか、そういうのは人間の都合だから、自然と一緒に人間も生かされているんだっていう気持ちを忘れちゃいけないっていうことを、よく父親は言ってますね。

佐々木:何者かであるかことを求められる社会っていうところもちょっとお聞きしてみたいんですけど、どういったところがあるんでしょうか。

越後:人口1万人を切っている、ちっちゃい町の中で、公務員ってすごく安定していて、うらやましがられる職業だったんですよ。「公務員の越後さん」って辞めてから3年たった今でも言われるんですね。公務員である前に、越後千寿だよっていう。

私自身が人の評価を気にするタイプで、周りの人が自分に対してこう思ってるんじゃないかっていうのを感じ取りやすいタイプなので、すごく気にしてしまったのも鬱になった原因ではあるかなとは思ってます。

ただ、その越後千寿っていう、私は何者なんだって言うのをずっと今でも問いかけ続けて、別に何者でなくてもよくて、私自身が何が好きでどうやって生きていきたい、どうありたいかを問い続ける。ただそれだけでいいかなということを自然の中で気づきました。

佐々木:いつも見ていたはずの自然の景色だったものが、どんなふうに変わったのでしょうか?

越後:朝起きられなくなって、ずっと寝込んでて、ご飯が美味しくないし、食べたくないっていう状態で、外に出るのも嫌だったんですね。

田舎あるあるなんですけど、越後さんはあの車に乗ってて、何時頃出てくるとか、周りの人は知ってるわけですよね。それもあって夜しか外に出られなかったりしてたんです。

このままじゃ駄目だって思ってはいたんですけど、畑に行ったら手伝わなきゃないっていう後ろめたさがあって畑にもいけなかったんですね。

でも、母から「何にもしなくていいからとりあえず畑に遊びにおいでよ」って軽く言葉をかけてくれたことで、足を運ぶことができて、車から降りて、畑に足をおろしてぱっと上を見たら、まわり何もないんですよね。山しかないんですよね。

大きすぎることもなくちょうどいい広さの畑で、自然に深呼吸ができました。「はあ~」って、息ができてから何か自分がすごくちっちゃいものに感じられたし、この地球の中で自分ひとりが悩んでることなんて、ちっぽけなことに感じました。

こんなことでずっと家の中にいて、もったいなかったなあと。畑に行って、土に触れて自然から生きる力をもらった。そんな感じです。

佐々木:農家Gatewayコミュニティスペース「りんごのはなプロジェクト」の方は今は実際どんな状況なんですか?

越後:実は当時ここがいいなっていう空き家があって、そこをベースに計画をしていたんですが、こちらの計画が具体的に進む前に、一般の方が住居として契約をされたので、そこは駄目だねっていうことになったんですね。

そして計画が駄目になったことで、自分の中で「りんごのはな」という場所を作るっていうのが目的じゃないな、それはただの手段の一つだなっていうことに改めて自分の中で思い返すことができたので、今は自分ができる範囲の活動をしながら自分にこれから何ができるかなっていうところを考え直している段階ですね。

佐々木:今実際にされている活動について教えていただけますか?

越後:11ぴきのねこという絵本のTシャツができるから、ちょっとポスターに写真を使わせてくれないかっていうことで、これが私です。音楽活動を通して、一緒にイベントを企画運営した方からの依頼で、こういうふうに三戸町への貢献に繋がったので自分のしてきた活動も無駄ではなかったなあっていう。

私の実家の越後農園のリンゴジュースを、石川県の「ウフフドーナチュ」さんがイベントで使いたいんですって言ってくださって。お母さんたちがお子さんのために愛情を込めて作ったから「ドーナチュ」らしいです。

あとは、SIAの同期でもある瀬川然くんがカフェをオープンしたんですけど、そこのネビラキカフェでもリンゴジュースを出したいっていうことで購入してくださったり、三戸に実際に来てくれたりとか、ちょっとずつ人と人との繋がりを感じているところです。

佐々木:質問がきています。
「これまでの地方は外から人を集めに来てもらうことを広く目的としていたように感じますが、コロナの影響でどのように変わるかなっていう素朴な疑問です。」

越後:withコロナなんて言われますけど、こういう地方の小さな町で、これから人々がどう生きていくのかっていうことに関してお話させていただくと、私は前から、移住定住とかっていう言葉に対して私はちょっと違和感を持っていまして、というのは人口って全体的に減ってきてると思うんですよね。

そんな中で人口の取り合いみたいなことをしても意味がないんじゃないか、移住定住の本当の意味って人口の増減ではなくて、自分が住んでるところ以外の地域の良さをその場に行って、直接感じて、そこの人たちとの交流も楽しむことだと思っています。

この地域のこんなところが好き、この地域に住む人たちが好きって言える地域がいっぱい増えていったらいいなって思います。

誰かにとっての好きな場所の中のひとつに三戸町が、寄りどころというか、そういうところになればいいなって思います。

佐々木: SIAはそもそもなぜ応募しようと思ったのですか?

越後:参加するきっかけになったのは、2018年に参加された五十嵐さんからの紹介でした。三戸町を農家さん中心にもっと盛り上げたいっていう話をしたら絶対SIA参加したほうがいいよってすごいパワープッシュされて。笑 参加して本当に良かったと思っています。

佐々木:プログラムに参加して、学んだものはなんでしょうか?

越後:まずは私以外にも、今の世界に疑問を持って、自分にできることはないかって熱い思いを持ってる人がいたってことに感動して泣きそうになってしまいました。

そんなSIAの同期のみんなと、INTILAQの皆さんが心から私たちのことを支えてくれて、背中を押していただいたり、励ましていただいたり、本当に助けられたなって思っています。

SIAの半年間、本当に私の心の居場所だったなあって思います。この場をお借りして、皆さんありがとうございます。

佐々木:SIAの活動の風景など、写真を共有していただけますか?

越後:一番最初のビジョン、ミッション、バリューを考えるところですね。ここで書き出して、講師の方がひとりひとりまわってくれています。付箋を貼って、外しては貼って、新しいのを書いてまた外して、ああでもないこうでもないって、でも最初にこれをやれたことがほぼ自分の核になったので本当に良かったなあと思います。

2019年以前のSIAの方々と交流会があって、そのときの楽しそうな写真ですね。
そこで本当に先輩方が私達の話にすごく興味を示して話を聞いてくれて、繋がれる人は繋がろうよってすごい積極的に交流してくださって、ありがたかったです。

雑談からSIAの中身から人生相談から、いろいろお話を聞いてくださって、本当にロックな人たちでした。

佐々木:今後の展開として、こんなふうなことを考えているとか、やってみたいなとか、そういったことを教えていただけますか?

越後:今まで自分がしてきた活動として、音楽活動ももちろん続けますし、実家の農家に関してはFacebookで発信していますが、他にもインスタ、Twitter、あらゆるSNSを使っていろんな発信をしていきたいなと思っています。

SNSに関しては自分がたぶん強い方かなと思っているので、そこを活用して、農家さんの思いなども今後発信していけたらいいなって思っています。

佐々木:最後に、本日参加していただいてる皆様へのメッセージをいただければと思います。

越後:SIAに参加させていただいて、そのSIA魂と自分のロック魂を持って、少しずつ活動を続けています。私の活動を見て、何か力となっていただけたらいいなって思いますし、皆さんのロックな活動も見たいなと。お互いに刺激を与え合いながら自分のロックをさらに磨き上げ、ロックンロールしていきたいなと思います。皆さんロックに行きましょう!

佐々木:やっぱり最初から最後までロックですね!本当に今日はありがとうございました。

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