第3回 INTILAQ SIA ナイト イベントレポート
5月18日(月)、SIA(Social Innovation Accelerator)プログラム卒業生をゲストにお招きしたオンラインパネルディスカッションを開催いたしました。
【SIA Nightトーク】
佐々木:こんばんは!今回のゲストスピーカーは伊藤真結さんです。簡単にご挨拶をお願いします。
伊藤:伊藤真結です。元高校教員で教育関係の事業を立ち上げようとしているところです。
佐々木:プレゼンから2カ月以上たちましたが、周りの反響はいかがでしたか?
伊藤:発表が終わってから、「共感賞は真結さんに入れました」っていう方が生の声をたくさんくださって、その感動がすごく心に残っています。あのプレゼンテーションで何が伝えたかったのかというと、本当にひとりでもお子さんに届けばなって気持ちでやったので、それが一番うれしかったです。たくさんの方が共感してくださったというのが力になったというのがあります。
佐々木:今の状況を教えていただけますか?
伊藤: 3月には親御さんお子さん個別に対応させて頂いて、現地で体験会をしました。4月はちょっと休ませて頂いて、その間子どもたちとは公式のラインを使ってやりとりをしたりしていました。
佐々木:参加してくださった人は体験会のことを何で知ったのですか?
伊藤:プレゼンを見てくださった方がほとんどで、あとはプレゼンを見た方に聞いてきたんですって方もいました。
佐々木:参加された方々は何を求めてきたんでしょうか?
伊藤:「やりたいことがわからない」とか「自分なんて」とか思っている子どもたちや、今既存の学校でももやもやを抱えていらっしゃる方が足を運んでくださいました。
あとはシンプルに秋保っていう場所でそんな面白いことが起こるのかっていう期待で足を運んでくださった方もいました。
プレゼンテーション資料より抜粋
佐々木:学校の先生は天職と言っていた真結さんが、辞めてまでやろうと思ったいきさつをお話しいただけますか?
伊藤:子どもたちと一緒に過ごしていて幸せだなって思っていたのはまぎれもない事実だったんですけど、やっぱり違和感ですよね、子どもたちが苦しんでいる場面があって、理由が「試練に立ち向かう」とかではなく「なんでそんなことで苦しまないといけないのかな」というのがありました。
それで最後の年に積もり積もったものが自分の中で顕在化して、日本の教育が変わっていくのを待っていたら後悔するっていう気がして、出るしかないってなったら出るしかないんですよね。
佐々木:真結さんのように思いやりのある先生だったら、少なくとも真結さんの生徒にとってはいい環境だったのかなと思うのですが。
伊藤:辞めた後に生徒から「どうして辞めちゃったんですか?」って声もあり、高校2年生の担任をしていたので「1年間待てなかったの?」「なんでもう1年がんばってくれなかったの?」って子どもたちに言われた時にはきつかったです。
それはあなたたちが理由じゃなくて、ひとりの大人としてひとつのことに挑戦するってことを伝えてきました。
3月にその子たちの卒業式に行ってきたんですけど、成長してたなと。1年間一緒にいられなかったさみしさみたいなのは感じちゃいましたね。
佐々木:でもそういった生徒たちも今では真結さんのやろうとしてることを応援してくれているのですか?
伊藤:はい、ありがたいです。
佐々木:その子だけの輝きとか好奇心を育てるとかが真結さんのテーマだと思ってるんですけど、その辺りをお話しいただければ。
伊藤:子どもたちが楽しんでる姿を見るのがたまらなく好きだったんですよ。一方でテストがあって卒業にはそれが要件になっていていて、心を開放して数学を楽しめる環境ではなかったんです。時間割に沿った毎日を過ごしていて、だんだんと子どもたちが自分の感情に鈍感になっていってしまうんじゃないかなって、
ではあなたの進路について考えましょうと言っても「わからない」っていうのが出てきた時に、もっともっと自分の楽しいとか得意とかってみんなが持ってるキラキラしたものを、小さくても大きくても集めて、それを自分が知っていれば、「私にはやりたいことがない」ってしょぼんとしなくてもいいのかなと思います。
佐々木:今オンラインなどで活動されているとのことですが、その辺りをお話しいただけますか。
伊藤:現場にいた時も学級通信で自分の気持ちをアウトプットして子どもたちに伝え続けるっていうのは自分の中ではかけがえのないものだったんですね。
今彼らはどんな気持ちかなとか、どんな言葉が彼らにとって価値があるかなとか、どんなことを伝えたらどこか心に響くかなとか、そんなことを考えながら、インスタグラムで手書きの学級通信というのを始めています。
佐々木:ぜひ続けてください。
伊藤:ありがとうございます。あとは数学講座をやっています。実は私は「数学苦手な数学教師」と言っているのですが、数学をやってきて見えてきたことや、身についた力というのを感じていて、それはきっと生きていくために必要なことだと思うのと、私自身が数学を教えていて楽しいって思っていたのも事実なので、それも続けていきたいことのひとつになっています。アキウスコレーとは別軸になるんですけど。
佐々木:SIAはどうして受講しようと思ったのですか?
伊藤:退職して最初に起こしたアクションが「学校をゼロから考える会」というのをやったのですが、そのつながりで2018年のSIAを受けた方から「こんなのあるよ」って教えていただきました。私はその時行動しなければ死んでしまうという感じだったので、深く考えずに説明会に参加しました。そしてそこで深く考えさせられるっていう。
佐々木:深く考えないで行って、深く考えさせられる笑
伊藤:そこで「なんで自分は今これをしてるのかな?」というのを考えさせられて、もっと深堀した方がいいのかなって気持ちがあったので挑戦させて頂きました。
佐々木:SIAプログラムではどんなことを得ましたか?
伊藤:SIAを受けていなかったら絶対に知らなかった世界や、つながらなかった人に出会えた興奮みたいなのはありました。
事務局の人が色んな方を講師として招いてくださって、お金のこともたくさん学ばせてもらったし、いかに自分が知らないかっていうことも知らされたのでほんとに勉強になりました。
佐々木:自分がどうしてこの事業をやろうと思ったのか、whyの部分の深堀をすごくされましたよね。みなさんにもぜひ共有してください。写真にはビジョン、ミッション、バリューとありますが。
伊藤:一番最初に、「未来のために何をするの?」っていう深堀りをしていくんですけど、わからなくて。
ビジョンは出たんですが、「そのために何するの?」とか「何を勉強するの?」というのを考えたことがなかったんですね。「何を提供するか?」は「生徒との会話」くらいしか出てこなかったんです。ここに講師の方がひとりひとりにフィードバックをくださいました。
最初にこれを掘り下げたのは正直苦しいし、わからないよって感じだったんですけど、最後のプレゼンテーションを考える時にもここに立ち戻ってきたりしたので、やっぱり言語化することって大切だなと。
佐々木:真結さんだけでなくて他のメンバーもみんな苦しみながら掘り下げて、自分でわかっていたはずなんだけど、言葉にするとうまく出てこないとか、うまく文章にできないとか、言語化するってやってみないとできないですよね。でもこれがあったから今につながっていると。そんなSIAのメンバーとの交流はどうですか?
伊藤:苦しい時には色んな方に話を聞いてもらったりしましたし、今でも「大丈夫?」って連絡してくださったりだとか、そのつながりっていうのは事業がどうっていうより心が助けられていて、SIAのひとつの価値としてすごく感じています。
佐々木:今後の展開とか考えてることがあればお話しいただけますか?
伊藤:今オンラインというのがすごく騒がれていて、もちろんオンラインでできることもたくさんある反面、一緒に時間を過ごす生徒と先生の時間の価値というのは、ぜったいに大事にしなくちゃいけないなっていうのをあらためて認識した上で、オンラインの可能性も知った学びだったなと。6月からまた新たなことにも挑戦していきたいと思います。
佐々木:今日ご参加いただいた方へメッセージをお願いします。
伊藤:まず今日は来てくださってありがとうございます。子どもたちは大人ひとりひとりの姿を見て、いいことも悪いこともたくさん学び取っているので、いつもかっこよくいなくちゃいけないとかじゃなくて、大人も今こそ助け合ってつながってるっていうのを子どもたちに見せられたらいいなって思っています。今日はありがとうございました!
伊藤真結さんブログ
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