ACTIVITY INTRODUCTION

活動紹介

ACTIVITY INTRODUCTION

活動紹介

〈イベントレポート〉SENDAI SOCIAL INNOVATION NIGHT 仙台・東北発で広がる社会インパクト 〜Capital of Social Innovationを目指して〜

【イベント概要】

社会課題の解決に向けて、さまざまな挑戦を行っているゲストを、日本・世界からお招きしてお話しを伺う、仙台ソーシャルイノベーション・ナイト。
初回となる、今回のイベントタイトルは、

「仙台・東北発で広がる社会インパクト〜Capital of Social Innovationを目指して〜」

今年は東日本大震災から10年目の年。振り返ると、震災後特に社会課題/地域課題が深刻化の速度を増した東北の地で、その解決に向けた取り組みも続けられてきました。特に「Capital of Social Innovation」を掲げ、スタートアップ・エコシステム拠点都市の「推進拠点都市」に選定された仙台市を中心に、社会インパクトと経済インパクトを両立する起業家が生まれ育つための「エコシステム」構築が進み出し、今後さらに強化されていく予定です。

本イベントでは、東北で活動する「ココロイキルヒト(=社会起業家)」と、そんなココロイキルヒト(=社会起業家)たちをサポートする「支援者」という異なる2つの視点から東北のソーシャルイノベーションの今や東北における「エコシステム」の強化・深化・発信のあり方を議論して参ります。

【トークセッション① =支援者編= ~仙台・東北発で広がるソーシャルイノベーション~】

■ゲスト

▷公益財団法人 東北活性化研究センター 調査研究部 専任部長 矢萩義人 氏

1995年慶應義塾大学卒業。同年東北電力㈱入社。主に人財、関係会社の経営管理、海外事業、環境に関わる業務を担当。2019年7月より東北活性化研究センター出向。「2020年度 東北圏社会経済白書」第Ⅱ部「社会起業家の活躍による社会・地域課題の解決」の責任執筆者。米国ロチェスター大学経営学修士(MBA)。


▷ICHI COMMONS株式会社 代表取締役 伏見崇宏 氏

慶應義塾大学法学部法律学科卒業。在学中に教育系NPOの立ち上げや国際会議への参加を経験した後、米国General Electric社での勤務を経て2016年よりC4のディレクターとして金融のイノベーションやテクノロジーを活用し、日本が世代、地域、文化の違いを活かしながら、共生と社会課題解決を軸に置いた新たな連携と持続的な成長の形を示す仕組み作りに取り組んでいる。

■モデレーター

▷一般社団法人 IMPACT Foundation Japan 代表理事 竹川隆司

国際基督教大学卒業。野村證券を経て、2006年ハーバードビジネススクールでMBAを取得。その後野村ロンドン勤務ののち2008年に独立、日米で起業を経験。東日本大震災をきっかけに活動拠点を日本へ戻し、2014年「東北風土マラソン&フェスティバル」立ち上げ、2016年INTILAQ東北イノベーションセンター設立などを主導。現在zero to one代表取締役、仙台市総合計画審議会委員なども務める。

■トークセッション

竹川:ここでは、支援者編ということで2名のゲストからお話しを伺います。1人目は東北活性化研究センターの矢萩さんです。東北活性化研究センターさんでは毎年「東北圏社会経済白書」を発行されております。2020年度の白書では特集として社会起業家を取り上げており、まずは、その概要についてご説明をお願いいたします。

矢萩:東北活性化研究センターの矢萩です。東北活性化研究センターでは、「知をつなぎ、地を活かす」を活動理念に東北6県と新潟県(東北圏)にて地域・産業活性化に関する調査研究、プロジェクト支援、人財育成などの事業を行っています。先ほどご紹介いただきました通り、「社会起業家の活躍による社会・地域課題の解決」をテーマとし社会起業家に係る調査を行って参りましたのでそのポイントについてお話しをさせていただきます。

調査の実施に至る背景として、下記2点がございます。

・「課題先進地域」東北圏におけるソーシャルイノベーションの進展

・新型コロナウイルス感染症の影響に伴い社会起業家の役割はより大きく

こうした背景を踏まえ、「社会起業家の社会課題の解決に向けた取り組みが、持続的に達成されるよう、事業の持続性確保に資する方策について提言を行う」ことを目的に調査を実施しました。
調査方法としては、アンケート調査と先進事例調査(ヒアリング調査)を実施、それを踏まえ提言を行いました。それぞれの調査結果につきまして共有させていただきます。

[アンケート調査]

対象は、東北圏の社会起業家が運営をする101団体です。これらの団体に対しまして、事業の実態や課題、今後の展望等についてアンケートを行いました。結果、東北圏の社会起業家が抱える課題が明らかになり、下記4つのキーワード(①ビジョン、②経営戦略、③経営資源、④経営管理)の面から整理しました。そして、これらの課題を先進事例先ではどのように克服しているのかという問いのもと、先進事例調査を行って参りました。

[先進事例調査(ヒアリング調査)]

先進事例調査では、社会起業家のほか行政機関や支援組織、銀行など支援者に対してもヒアリングを行って参りました(計11団体)。対象に関しては、東北に限定せず全国からトップランナーの社会起業家、また充実したサポートを提供している支援者を選定いたしました。東北圏の社会起業家が抱える課題克服に向けた先進事例先での取り組みとして、起業家側では「ビジョンの明確化」「社会的インパクトの評価」が、支援者側では「行政・企業・支援組織などの関係者が連携をとり支援を行うこと」が特に重要であるとわかりました。

[提言]

最後に、アンケート調査と先進事例調査を踏まえた提言をさせていただきます。

社会起業家とその予備軍に向けた提言としては、

▷ビジョンを起点としたサイクルを通じた経営基盤強化

支援者(行政・企業・支援組織)に向けた提言としては、

▷社会起業家を生み・育てる仕組みづくり

を挙げております。これらを実行していくことが、社会起業家の活躍に向けて必要であるという結論となりました。

調査結果の詳細につきましては、当センターHPに白書を掲載しておりますので、ご覧いただければと思います。

竹川:矢萩さんありがとうございました。今、矢萩さんよりお話しいただきました社会起業家活躍のためのポイント「ブレない明確なビジョン」「社会的インパクトの評価と発信」がありました。私どもとしても今年度は「社会的インパクトの評価と発信」を強化して行きたいと思っておりましてそのプロジェクトにもご参画いただく方にゲストとして入っていただいています。ICHI COMMONS株式会社の伏見さんです。それでは伏見さんより会社紹介と合わせて今年度作成する社会的インパクトレポートのお話しもしてもらえたらと思います。

伏見:ICHI COMMONS株式会社の伏見です。よろしくお願いいたします。それではまず初めに弊社の紹介をさせていただきます。弊社は、SDGsの達成や社会課題の解決に取り組む個人や組織間のヒト・カネ・情報の循環を支えるセクターを超えた連携支援を行っておりまして、そのプラットフォームを作ろうとしています。具合的な事業としては、従業員が企業寄付の寄付先を決める「わくわく寄付コンペ」や企業版ふるさと納税の促進などを行っております。そして、仙台市さんやINTILAQさんとはSIAプログラムにてお手伝いをさせていただいておりまして2017年から社会的インパクト評価に関する講義の担当をしています。

次に、今年度、仙台市さんやINTILAQさんと取り組む、社会的インパクトレポート作成の目的や概要等についてお話しをさせていただきます。

内容としては、実際に地域課題に取り組まれているSIAプログラム卒業生らがどういう地域課題に取り組まれているのかというところを中心に整理していこうと考えています。そして、インパクトという観点に関しては受益者数など数字的に見えるところで抽出していければと思っております。最終的な将来構想としては誰がどこで何をやっているのかやどういう課題がどこにあるのかということが、社会起業家・支援者らで作るコミュニティ内で共有され地域内外の協働促進や継続的な社会的インパクトマネジメントがなされることを目指しています。

竹川:伏見さんありがとうございました。それでは、時間となりましたので第1部はこれにて終了とさせていただきます。お二方ありがとうございました。

【トークセッション② =起業家編= ~「ココロイキルヒト」から広がる社会インパクト~】

■ゲスト


▷株式会社ゆらリズム 代表取締役 野崎健介 氏

東京都練馬区出身。1999年東北福祉大学社会福祉学部卒業。民間会社を経て、2011年3月に全国初となる音楽リハビリデイを立ち上げ。音楽と介護予防を組み合わせた「音楽リハビリプログラム」を構築し、被災地をはじめ自治体・介護施設などに講師を派遣。また、JICAとコラオボレーションした海外事業(JICAプロジェクト)や、ロボット事業、子供食堂プロジェクトなど、活動範囲は多岐にわたる。


▷株式会社幸呼来Japan 代表取締役 石頭悦 氏

2009年、盛岡の支援学校で「裂き織」と出合う。古布などを細く裂いて織ったその美しさ、緻密さに感動。盛岡市の緊急雇用創出事業の補助金を得て、勤めていた会社で裂き織の生産・販売事業を立ち上げる。「盛岡さんさ踊り」の浴衣を材料に、ポーチやペンケースなどを作り販売。東日本大震災で会社の事業としての継続が困難となり、2011年9月に自ら「株式会社幸呼来Japan」を設立する。


▷株式会社グリーディー 代表取締役 浜出理加 氏

17年間株式会社ピーチ・ジョンにて勤務。テレオペレーターで入社後、コスメ企画課マネージャーをはじめ、カスタマーセンター長、カタログ通販課課長、社長室、CS推進チーム副部長、マーケティング本部副部長、コミュニケーションデザイン部副部長など、社内で多種多様な部署、役割を経験する。社員の9割が女性の同社で、延べ200名以上の女性のマネジメントを経験し、女性目線での働き方、ライフステージにおける課題解決の重要性を実感。自身も東京と仙台での二重生活に、ワークライフバランスを強く意識するようになり、2017年2月退職。同年5月趣味と過去の経験を活かし、株式会社グリーディーを設立。現在はアロマデザイン、香りを使った企業ブランディングを中心に展開。その他女性のエンパワメント推進を目的に、国際女性デーを啓蒙する活動「ハッピーウーマンフェスタ」を主催。

■モデレーター

▷一般社団法人 IMPACT Foundation Japan 代表理事 竹川隆司

国際基督教大学卒業。野村證券を経て、2006年ハーバードビジネススクールでMBAを取得。その後野村ロンドン勤務ののち2008年に独立、日米で起業を経験。東日本大震災をきっかけに活動拠点を日本へ戻し、2014年「東北風土マラソン&フェスティバル」立ち上げ、2016年INTILAQ東北イノベーションセンター設立などを主導。現在zero to one代表取締役、仙台市総合計画審議会委員なども務める。

■トークセッション

竹川:それでは続きまして、起業家編に移って参ります。起業家編では3名のゲストをお迎えしております。みなさんは、仙台市社会起業家育成プログラム(SIAプログラム)の卒業生でもあります。それでは、最初に1人ずつ自己紹介をしていただこうと思います。はじめに、株式会社グリーディー 代表取締役/一般社団法人ワンエムイノベーション 代表理事の浜出理加さんお願いいたします。

浜出:浜出と申します。よろしくお願いいたします。現在は、株式会社グリーディーと一般社団法人ワンエムイノベーションの代表をしています。株式会社グリーディーでは「香りと女性の感性で世界をHAPPYに」をビジョンに掲げ、東北の素材を使ったアロマスプレーやハーブティーの開発・販売を行っています。また、一般社団法人ワンエムイノベーションは昨年9月に設立した団体です。女性がどんなライフステージであっても自由に生きていけるような選択肢を増やせるようイベントや座談会などを行っています。よろしくお願いします。

竹川:ありがとうございます。次に、株式会社幸呼来Japan 代表取締役の石頭悦さんお願いいたします。

石頭:岩手県盛岡市で株式会社幸呼来Japanという会社をやっている石頭と申します。よろしくお願いいたします。株式会社幸呼来Japanは震災のあった2011年に設立、障がいのある方たちと一緒に裂き織を作る会社です。今年の2月に行われたSSIS2021(SIAプログラム最終発表会)では、大賞・オルビススマートエイジング賞・共感賞の3つの賞をいただきました。私たちは「世の中のもったいないを織り成し、もっとこころ豊かな社会に」をビジョンに掲げ「東北の伝統工芸技法である裂き織技術の伝承」「障がいのある方の働ける場づくり」「廃棄物のアップサイクル」といった社会課題解決に向けた取り組みを行っています。具体的には、岩手県盛岡市の夏祭り(さんさ踊り)の廃棄浴衣や工場から出る廃棄生地を活用した企業連携事業やコースターなど自社ブランド商品の製作・販売を行っています。色々な方達に知っていただくことが重要と考えており、障がいのある方達への差別偏見をなくすためのきっかけを作っていけたらと思っています。

竹川:ありがとうございます。最後に、株式会社ゆらリズム 代表取締役 野崎健介さんお願いいたします。

野崎:仙台市で介護施設と障がい児施設を運営しています。よろしくお願いします。元々、音楽が好きだったので、音楽を使った専門リハビリデイサービスを2011年3月に会社を起業したのですが、起業してすぐ震災になり倒産しかけてしまいまして。やることが何もないからと介護施設や障がい児施設への講師派遣をするようになったんです。それが徐々に広がり、講師派遣や研修、5年前からは障がい児向け施設を運営するようになりました。起業から10年がたつわけですが、当初からずっとビジョンとしてあるのは「性別・国籍・障がい関係なくみんなが一緒に暮らせる共生社会を作りたい」という想いです。

竹川:野崎さんありがとうございました。ここからはいくつか皆さんに質問をしていければと思います。トークセッション①の矢萩さんのお話しの中で「ブレない明確なビジョン」が大切とのお話しがありました。皆さんもビジョンの言語化をしているかと思いますが、その前段階として、どこで課題に出会って、なぜその事業に取り組もうと思ったのか最初のきっかけについてそれぞれお話しいただけますでしょうか。

浜出:実は、起業するまでは社会課題について意識することはあまりなかったんです。ただ、会社員を辞めて自分1人で社会に出て行った時にこれまでなんとなくモヤモヤしていたものが実感として「女性の社会進出」という社会課題に気づいたという感じです。その中で自分の想いを整理したかったというところでSIAプログラムに参加しました。

石頭:私は、裂き織というものを全く知らなかったんですよ。江戸時代からずっと地域にあるものなんですけどね。そして、初めて知ったのが特別支援学校に見学にいった時でした。生徒さん達が織っているのを見てこんな素晴らしい織物があるのかと驚いたんです。その後、意識して見てみると地域のお店では色々な裂き織商品が売られていたことに気が付きました。なんで、これまで目に止まらなかったのかを考えると自分が欲しいような色柄のものがないということだったんです。そして、特別支援学校での見学を思い出しました。障がいのある方たちにはこんなに素晴らしい力があるのに誰も知らない。地域に裂き織があるのに誰も知らない。なんとかして、障がいのある方たちがこんなに素晴らしい織物を作れるんだということを発信していくことによって、障がいのある方の力を多くの方が理解し、地域にある裂き織についても多くの方が知ることになって残していけるのではないかと思って始めました。

野崎:元々は福祉の勉強をしていたんです。社会人になりサラリーマンをやっていて、その時には、週末に音楽イベントにボランティアででも参加できればいいかなとなんとなく思っていました。けれども、いつ死ぬか分からない中、やりたいならやった方がいいと思ったというところで初めました。だから、最初から社会課題解決をということではなかったんです。そして場所としては、東京も考えたのですが、当時住んでいた世田谷区は仙台と同じくらいの人口規模で。世田谷区で一番を目指すなら仙台で一番を目指したほうが、仙台であれば東北で一番とも言えるのでそっちの方がいいなと。事業内容についても、色々考えながらなんとなく始めたというのが正直なところでした。

竹川:皆さん、ありがとうございます。野崎さんの話の中に仙台で起業をという話が出ていました。浜出さんも仙台でという共通項がありますね。大手企業に勤められていた中で、社会課題を自分でやろうと思った理由、そして、活動拠点として仙台を選んだ理由はどうしてでしょうか。

浜出:別に仕事も嫌いでないし、東京の仕事も刺激的で楽しかったんですが、パートナーが仙台にいるのもあった中で10年後20年後を考えた時に同じようなキャリアを歩いていることに違和感を感じたんです。ちょうど50歳のタイミングで決断をしました。

竹川:お話を聞いていると勢いみたいなところも多分にあるんですかね。ただ、勢いという要素も絶対に必要なのだと思います。そして、皆さんに共通しているところとしては振り返らずに知らないうちにやっているという状態。まず始めちゃったというところが一番最初のきっかけなのかなと思いました。

次に、SIAプログラムの話に移っていければと思います。先ほど、浜出さんはSIAプログラムの参加が起業につながったということでしたが、石頭さんはどういうきっかけでSIAプログラムへの参加を決断し、実際に参加をしてみての効果はいかがでしたでしょうか。

石頭:INTILAQさんがやっている別事業で関わらせていただいたのがきっかけでした。10年事業をやっている中で、日々のことで一杯一杯になってしまっていて、想いはあるのになんでうまくいかないんだろうということばかり考えていたのでプログラムへの参加は改めて原点を見つめるのにとても意味があったと思っています。さらには、自分が持っている想いの先に何があるのかというところも言語化できました。また、社会性のある事業はなかなか収益に結びつかないところはそうだろうと思っていましたが、きちんと収益性のある仕組みを作れればうまくいくのだということをSIAで学びました。今は、新しいモデル構築に向けて実証実験をしている段階です。

竹川:ありがとうございます。10年事業を継続されていた中、SIAプログラムに参加をして振り返ってみたら10年前と変わらないビジョンだったということでしたが、その中で何がいい方向に変わったのでしょうか。

石頭:10年前は障がいのある方の力を多くの方に知っていただくという想いだけだったんです。知っていただくことによって世の中がどうなるのかというところが見えたということです。結局、私が何をやりたかったかというと、障がいのある方たちに対する差別偏見をなくしたいというということだったんです。そして、障がいのある方たちの力を知っていただいた先には、知っていただいた方が障がいのある方たちに対して抱いていた壁を少し低くできて。そして、さらにその先に、世の中の人がお互いを認め合って心豊かに生きていける社会になっていけばいいんだと私が望んでいるのだということが分かったということです。

竹川:なるほど。つまり、心の奥にあるモノは変わらなかったけれども、先ほどの矢萩さんのお話しにもあった「ブレない明確な」というところがよりクリアにできたというところですかね。

次に、野崎さんにお話しをお聞きしたいです。野崎さんも石頭さんと同様に事業を続けてこられていたわけですが、どうしてSIAプログラムに参加しようと思ったのでしょうか。

野崎:実は、当時、研修や交流会に参加するのが好きでなかったんです。けれども、7年8年事業をやってきたという中で、一度立ち止まって第三者的な視点からアドバイスをもらい、客観的に自身の事業を整理したという気持ちに至り、最終的には参加を決断しました。実際に参加してみての感想としてはものすごく良かったと思っています。一番は人との繋がりの重要性に気がつけたところです。INTILAQと繋がることによってINTILAQに関わる人たちのコミュニティに参加することが出来たことは、その後、色々な意味で広がりを持たせることができたと思いますし、色々な方々に知っていただけたというところも大きなポイントでした。

竹川:野崎さんはSIAプログラム卒業後というところでは登壇者の中で一番先輩になるわけですが、卒業後の取り組みにも参加いただいています。例えば、大手企業のマネジメント層が社会課題に寄り添いたいと野崎さんの会社に入り半年間アクションを考えて提案をしてといった取り組みもありましたよね。

野崎:SIAプログラムに関わったことによって、外から色々なご提案をいただけるようになったというのは大きいですよね。竹川さんお話しの取り組みは2年連続で活動をしていただいているんですが、1年目には「特定の時間帯に遊休資産となっていた会社の送迎車を活用した買い物難民の高齢者向け相乗りサービス」をご提案いただきました。2年目となる今年度は、「障がい児向け職場体験プログラム」をご提案いただき一緒になって活動を行っています。

竹川:自分だけでなく外の視点が入る事による広がりの実例ですね。ありがとうございます。SIAプログラムへ参加しての意味・効果の話をしてきましたが、この辺り、浜出さんはいかがでしょうか。

浜出:表向きはそんなに変わっていないのかもしれませんが、自分の中でこの事業を進めていくんだという覚悟ができたというところは変化という中で1つあるかなと思います。あとは、カッコつけないで人に話せるようになってきたのかなと。変にカッコつけることなく、こんな事業をやってみたい、こんな社会を作っていきたいと綺麗事を言えるようになりました。社会課題解決に向かってチャレンジをしていく同期11名が一緒になってプログラムに参加しているという、ある種特殊な環境がそうさせたように思っています。

竹川:石頭さんはいかがでしょうか。覚悟が決まりましたか。

石頭:確かに腹落ちはしますよね。そして、ソロバンの必要性は本当に感じました。

浜出:あ、そうですね。よくよく考えて思ったのは、ずっと事業会社にいたので”How(どうやってやる?)”の部分はよく考えてきたのですが、SIAプログラムでは”Why(なんでやる?)”の部分を突き詰めていけたのは本当によかったなと感謝しています。

竹川:そうですね。社会課題って簡単に解決できるものではなくて複雑なもの大変なものが多いわけで、だからこそ、挫けそうになった時に必要なのが”Why(なんでやる?)”の部分でしょうし、事業をしていく中で巻き込んだ方も沢山いてそうしたところも腹が据わった要因の1つですかね。また、浜出さんは、昨年、SIAプログラム参加者のメンターもやられていたかと思いますが、その感想はいかがでしょうか。

浜出:会社員時代もマネジメントはしてきたんですが、その時と違うのは、無い答えを探しにいくところですかね。ここは私にとってもチャレンジでした。参加者の方に寄り添って自分自身も考えていく経験が昨年度立ち上げた一般社団法人ワンエムイノベーションでの活動にも繋がっていると感じています。

竹川:非常によかったということですね。ありがとうございます。実は当初のSIAプログラムはINTILAQのスタッフがメンターを担当していたんですが、昨年度からは、SIAプログラムの卒業生が受講生のメンターを担当していただくという取り組みを始めています。また、そんな昨年度のSIAプログラムを卒業された石頭さんは3つの賞を受賞されました。その中に「オルビススマートエイジング賞」というものがあったかと思います。こちらは、卒業後も一緒になって活動をされていると聞いておりましたが、今の状況をお話しいただけますか。

石頭:弊社の一番の課題は収益性ということで、裂き織の付加価値を高め障がいのある方たちの力を色々な方たちに知っていただくための仕組みづくりをしている段階です。着実に先が見える状況で組み立てをしていただき、オルビスさんに入っていただきながら一生懸命取り組んでいるというところです。自分には専門的な知識がないのでこのオルビスさんのサポートは本当に助かっています。

竹川:今後に期待ですね。こちら、昨年度からオルビスさんがプログラムパートナーとして入っていただいておりまして、プログラム中のワークショップの他、最終発表会での賞も出していただいています。この賞ではプログラム終了後も継続支援していただけるというところです。お時間迫って参りましたので、最後に皆様1言ずつお願いいたします。

浜出:参加を悩んでいる方がいらっしゃいましたら、1歩踏み出すということをお勧めします。大きく変わらなくてもいいので、まず、応募する。1mm動くというところからその先のイノベーションが起きると思っています。応援しています。

野崎:起業家育成なので起業しないといけないというわけではないと自分は考えています。なんとなくモヤモヤしている人はとりあえず応募してみるのがいいのかなと。もし、選考に落ちてしまったとしても、INTILAQさんのコミュニティに入れるというだけでも十分意味のあることだと思います。1歩、1mmでも進んでみましょう。応援しています。

石頭:どうしようかと悩んでいる方は、ぜひ、応募してみてください。自分で動いてみるということは大事だと思いますし、悩んでいるだけではただ時間が過ぎてしまい何事も進みません。ぜひ、えいっ!と1歩踏み出してみてください。

竹川:はい、皆さんありがとうございます。これにてトークセッション②は終了いたします。ご登壇いただきました皆様ありがとうございました。