ACTIVITY INTRODUCTION

活動紹介

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活動紹介

〈イベントレポート〉仙台ソーシャルイノベーション・ナイト 仙台・東北が豊かで幸せな暮らしを持続させていくために 〜豊かさを作り出す垂直的統合について〜

東日本大震災以降、高齢化や人口減少など多くの社会課題が顕在化し課題先進地とも言われる東北。『2100年、仙台そして東北の各都市が豊かで幸せな暮らしを持続させていくためのあり方とは?』本イベントでは、この問いについて「地殻・地質・歴史・文化・産業・生活・社会・制度など、多層的な地域の研究の上に深く根ざしていること」が大切だと語るブルー・マーリン・パートナーズ株式会社代表取締役の山口揚平さんをゲストに迎え、仙台・東北の歴史や特徴を掘り下げながら考えていきました。

■ゲスト

山口揚平 様
ブルー・マーリン・パートナーズ株式会社 代表取締役 

コンサルタント、思想家、投資家、作家、企業家。個人投資家応援サイト「シェアーズ」代表。専門は貨幣論・情報化社会論。NHK「ニッポンのジレンマ」論客として出演、フジテレビ「Live Newsα」テレビ東京「オープニングベル」TBS「6時のニュース」日経CNBC放送にコメンテーターとして出演。慶應義塾高校非常勤講師、横浜市立大学・福井県立大学などで講師をつとめた。「新しい時代のお金の教科書」(2017年/ちくまプリマー新書)、「1日3時間だけ働いて穏やかに暮らすための思考法(2019年/プレジデント社)、「ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方(2021年/SBクリエイティブ)など著書多数。

■基調講演
ブルー・マーリン・パートナーズ株式会社はじめ様々な事業を経営しながら、多くの執筆や講演活動を行っている山口揚平さんによる講演では、これまでの歩み・取り組みについてお話しをいただきました。

『これまで』と『これから』

山口さんのキャリアのスタートはM&Aコンサルタント。様々なM&A案件を国内外で手がける中で、日本人の金融リテラシーの低さに問題意識を持ち、上場企業自動分析ツール開発・販売会社を起業。さらには、個人投資家教育事業も展開します。起業家として第一線で活動する中において、日本の新時代をリードする産業の創出が必要との考えのもと、宇宙開発会社や新教育システム会社などへの創業支援・出資を実施。2020年以降は、「これからは“地域の時代”」との想いから新しい日本を見据えた産業・社会システム構築のための基金創設など『都市創生(地域価値創造)』事業を展開。ファイナンス、教育、システムなどの各種事業を通じ、「テクノロジーを駆使した4K(関係・健康・教育)の構築」を目指しているとのこと。

「これからの日本のあり方という宿題を1人1人が解かないといけません。」という山口さんからの提起は、実際に多くの取り組みを行なっているからこその説得力がありました。様々な社会課題が顕在化し、個々人の暮らし方・働き方も多様化する現代において、誰かが何とかしてくれるのを待つのではなく主体的に答えを求めて動いていく姿勢が大切なのだと心動かされた方は多かったのではないでしょうか。


『都市創生(地域価値創造)』とは?

山口さんはこの『都市創生(地域価値創造)』について、「人々のこの先100年の恒久的な豊かな生活の担保のため地域ごとに地形、歴史、産業、生活などに合わせた産業、教育、福祉、行政システムの再構築を行うこと」と言います。そして、こうした観点の事業が各地で受け入れられるようになった背景には、より安い賃金・素材がある場所でものづくりを行うという『富』を基軸とする“ボーダレスワールド”が新型コロナウイルス出現により停滞したことでその土地の歴史・文化、自然、環境をベースとした生業の創出という『豊さ』を基軸とする“バーティカルワールド”に関心が移ってきたことがあると言います。

『都市創生(地域価値創造)』の具体的事例としては京都府などをご紹介いただきました。

<京都府>
=分 析=
[制度] 教育・文化・経済の予算割合が高く、支援や発展を目指した政策のもと独自モデルを目指す
[生活] 京都府の出生率、老年人口割合はほぼ全国平均と同じで、高齢化と少子化のトレンドが続く
[産業] 伝統工芸が盛ん、その気風のもとハイテク企業が世界進出。多様な文化が観光業を後押しする
[文化・歴史] 東アジア諸国との交易の観点から1,000年間都が置かれる。加えて工業と文化の中心地となる
[地政] 中国山地延長線唯一の低地であり、琵琶湖とともに瀬戸内海・日本海の交通結節点となる

=打ち手=
▷文化・産業承継基金の創設
伝統工芸など身体知の伝承が必要な産業にて、若者の生活費と引退者への年金を支給

■トークセッション
基調講演に続き行われたトークセッションでは、『2100年、仙台そして東北の各都市が豊かで幸せな暮らしを持続させていくためのあり方とは?』をテーマに仙台・東北の歴史や特徴を掘り下げながら、「仙台・東北の生きる道」を考えていきました。


Wellnessを生むバーティカルワールド =“仙台”を読み解く=

トークセッションのテーマは「仙台・東北の生きる道」。ということで、はじめに“バーティカルワールド”の観点から山口さんに仙台市を分析していただきました。
仙台といえば、東北1の都市というイメージが一般的ですが、地殻・地質・地政・土地などの観点で見ると、「3つの山地帯から80もの河川が仙台湾に向けて流れており仙台平野を構成していること。」「東北地方のGDPの15%を占めているものの実質は支店経済であり地に足のついた産業が弱いこと。」などなど表面だけでは窺いしれない実態について多層的に話題提起下さいました。

仙台市は、東北の他都市と比べ人口が多いから、経済規模が大きいから安泰と考えてしまいがちですが、地殻・地質・地政・土地・歴史文化・自然・産業など様々な文脈から読み解いていくことが本質を掴み持続可能性を考える上で重要であるのだと考えさせられるお話でした。


仙台・東北における『地域価値創造』のあり方

では、『2100年、仙台そして東北の各都市が豊かで幸せな暮らしを持続させていくためのあり方とは』どうあればいいのでしょうか。地域、そして私たちはどのような思考性を持つべきでしょうか。

これに対して山口さんは、「都市国家としての自律」が必要と言います。世界に打って出られるコンテンツを中長期的な視点で発信すること。そのためには各プレイヤーが個々別々に点として動くのではなく面としてまとまりを持って動いていく必要があるとのこと。

近年、生活の文脈では「住民参加型町づくり」、産業の文脈では「観光地域づくり(DMO・DMC)」など面としてまとまり新しい枠組みや価値創出をしようという動きが出てきています。「隣のお店にどうやって勝つか?」「隣の地域より観光客を増やすには?」など狭い視野での議論になってしまいがちですが、今一度、視野を広くし世界標準の視点に立つことがこれまでの当たり前を突破する糸口になるのかもしれません。

おわりに
おわりに、地域のため社会のためにチャレンジをする方に向けてメッセージをいただきました。

「家族だとか、自分の健康だとかの次に社会課題解決があるという考え方が大切かと思っています。いい意味で距離を置くというバランス感覚を持つことが長い目で見た時に必要です。そして、『世界標準』を視座に置くこと。“バーティカルワールド”の観点から地域を読み解いていくことが大切です。」

豊かで幸せな仙台・東北を創っていく上で私たちができることは何でしょうか。“バーティカルワールド”の観点から地域を読み解いていくことがそのはじめの1歩となるはずです。共に学び、共に考え、共に行動していきましょう。