社会課題をテーマにした映画の上映と、仙台・東北を舞台に活動する社会起業家をゲストに招き、リアルな挑戦や想いを共有する体感型セッション「Tohoku Social Innovation Night -映画で学ぶSDGsと社会課題-」。
2025年度第2弾となる今回のテーマは「障害者の就労・活躍」。障害者の就労や課題、社会起業といったテーマに関心のある方や、新たな学びを得たい方など、多くの皆さまの参加をいただきました。
第1部では、山梨県の障害福祉サービス事業所で、一人一人の「好き」や「得意」を仕事にして働く人たちの姿と想いを丁寧に記録したドキュメンタリー映画『フジヤマコットントン』の上映会が行われました。
[上映映画]
フジヤマコットントン
障害者福祉施設に集う、愛すべき人々の日常を豊かに描いたドキュメンタリー。
山梨県は甲府盆地のど真ん中にある障害福祉サービス事業所「みらいファーム」。ラジオ体操をして、仕事をして、お昼休憩を挟み、また仕事をする.…。繰り返される日々に目を凝らし、仕事に取り組むさまを見つめていると、花を世話する、絵を描く、布を織る、その手つきに確かに「その人らしさ」が現れてきます。
季節が移ろうように、少しずつ変化していく「みらいファーム」の人たち。友情、恋心、喪失とそこからの回復。他者との関わりの中で醸成されていく感情と言葉をカメラは丁寧に記録し、時に人生に思い悩みながら生きる等身大の姿を魅力的に描き出します。
監督・撮影:青柳拓 2023年/95分/日本 映画HP:https://fujiyama-cottonton.com/
続く第2部では、株式会社バンザイファクトリー 代表取締役の高橋和良さんのゲストトークおよびモデレーターのアーヤ藍氏とのトークセッションを開催しました。
[社会起業家ゲスト]
高橋 和良氏 株式会社バンザイファクトリー 代表取締役
46歳で医療IT企業CEO引退、三次元ITを使い木工漆器製造を始める。東日本大震災後、2012年8月自己資本で陸前高田市に工場建設、2012年12月には自宅を建設。2018年5月復興特区・大船渡市キャッセン8街区に工場三棟を建設。椿茶、ワカメ加工品、木工品を製造販売する。学位は博士(システム工学) Ph.D. in Engineering
(株)リコー、(株)CSKグループの創業専務(CTO)、(株)ドリームアクセス代表取締役、(株)バンザイファクトリー代表取締役、一般社団法人レッドカーペット・プロジェクト代表理事、現在に至る。
[モデレーター]
アーヤ 藍氏 映画探検家
大学在学中に語学研修で訪れたシリアが帰国直後に内戦状態に。シリアのために何かしたいという思いから、社会問題をテーマにした映画の配給宣伝を行うユナイテッドピープル株式会社に入社。同社取締役副社長を務める。2018年に独立。映画の配給・宣伝サポート、映画イベントの企画運営、雑誌・ウェブでのコラム執筆などを行う。著書に『世界を配給する人びと』(春眠舎)。
(左)高橋さんと(右)アーヤさん
高橋さんは東日本大震災の被災地域である岩手県大船渡市・陸前高田市における、産業衰退と住民の誇りの喪失を目の当たりにし、その課題解決のために立ち上がりました。地域資源である椿を軸とした地域産業の創出を通じて、誰もが地域の未来に夢を抱くことができる社会モデルの構築をめざしています。
津波が襲った三陸沿岸で多くの樹木 が倒れ、塩害で枯れる中、椿だけは数多く残っていたそうです。その生命力に感銘を受け、大船渡と陸前高田に繋がりを持った産業を創っていくまでの道のりをお話しいただきました。
椿の花言葉は「誇り」なのだそうです。
トークセッションでは、「障害をインクルーシブする」こと、世の中に障害のある方がいることを当たり前のこととして新しい社会を作るのが本筋ではないかというお話や、仕事をあげる・受けるの関係ではなく仲間である意識を持つこと、ひいては障害のある・ないにかかわらず誇りをもって仕事をすることの大切さについて伺うことができました。
手作業で丁寧に作られる椿茶。ほのかに甘く、体がじんわり温まるおいしいお茶でした。
次回は10月7日(火)、テーマは「食品ロス」です。皆様のご参加をお待ちしています。